コーカサス地方、動物（犬）モチーフのアンティーク・カザーク・ラグ
1900年頃
ウール×ウール
サイズ: 165 x 135 cm
 
アンティークのコーカサスラグ、色彩と形状の生き生きとした組み合わせがクラシックなトライバルを演出しています。フィールドは星型のモチーフが繰り返される格子状の構成で、主に赤やインディゴ、より明るい青の色調が使われ、アイボリーのアクセントがコントラストを際立たせています。中央のパネルを囲む複数のボーダーには、小さなフック状の形や小さなロゼット、ラッチフックなど、コーカサス地方の織物に典型的な幾何学的パターンがあしらわれています。
このラグを特に印象的にしているのは、デザインに取り入れられたスタイライズされた犬のイメージです。一見すると見つけにくいかもしれませんが、これらの動物モチーフは格子の間やボーダー部分に小さく幾何学的な輪郭として隠れるように配置されています。形状はシンプルにデフォルメされ、角ばった体ととがった耳だけで表現されることも多く、動物を抽象的に描く伝統的な織りのスタイルがうかがえます。
全体としては、クロスや星、そして犬のモチーフが繰り返される大胆な配色とバランスによって、トライバルでありながらどこか遊び心のある調和が生まれています。手紡ぎのウールを使い、きつく左右対称の（せネ式）結び目で織り上げられたこのラグは、コーカサス地方に受け継がれる豊かな織物の伝統を物語っています。長い年月を経てもなお色彩の深みを保ち、適度な使用感がその真の魅力や味わいを一層引き立てます。文化的価値を踏まえてコレクションに加えたり、インテリアのアクセントとして取り入れたりと、このアンティークラグはコーカサス民芸の魅力を示す素晴らしい一例といえるでしょう。